5月を迎えました。2月に新しい子どもが入ってきて、クラスの中の友達関係が変わってきて、子どもたちの世界が広がってくる頃ですね。
広がる、というのは単に仲良しグループのお友達が増えることとは限りません。今までの友達関係から違う友達グループに移行していくことも考えられます。
“うちの子、今まではMちゃんとべったりだったのに、この頃新しいお友達ができたみたい。” と言うSちゃんのお母さんは、きっとSちゃんの成長を感じているでしょう。この裏側、Mちゃんには何が起こっているのでしょう?
“Sちゃんが、もうお友達じゃないって言ったの。遊んでくれないんだよ。”
Mちゃんのお母さんは、どんな気持ちでしょう。
子どもたちは大人の感覚では辛辣と思えるほど正直、単刀直入ですね。それは言語と社会性の発達からくるものです。3才になると友達を求める社会性が芽生えてきますが、人を思いやるといった高度なところまではまだ育っていません。随分上手におしゃべりするようになっても、いきさつを説明したり、今日は遊ばないけど明日遊ぼう、などと考えたり言ったりすることはまだ難しいのです。
MちゃんとSちゃんの状況を探索してみましょう。 喧嘩でもしたのでしょうか?SちゃんはMちゃんが嫌いになったのでしょうか?Sちゃんにしてみたら、今までMちゃんだけしか見えていなかった友達関係が一歩広がった、その結果の発言で、今は新しいお友達、Tちゃんといるのが楽しいな、と言いたいのだと思えます。ところがまだ幼児の表現力では、聞く側の気持ちまで配慮した言い方はできなくて、簡潔な表現をしたのではないでしょうか。
子どもさんがMちゃんのような報告をしたら、どんな気持ちでいるかを引き出して聞いてあげてください。この時、子どもさんが怒った口調で訴えてきても、 “ひどいわね!!” と一緒に怒るのはお勧めしません。 怒りの裏には必ず悲しみが隠れています。怒りに同調してもらっても、子どもの心は満たされません。それよりも、“Mちゃん、随分怒っているのね。”と観察したことを言葉にして、“Sちゃんと仲良しだったのに、悲しいね、さびしいね。” “急にお友達じゃないって言われても、どうしていいかわからないね。” と子どもさんの気持ちを代弁してあげてください。
『お母さんは、私の気持ちをわかってくれる。』この確信が辛い状況を乗り切る力になります。
同じような出来事でも、5才、6才くらいの友達関係の変化にはもう少しはっきりした理由があるのが普通です。それでも、何が起こったかを聞き出す前に、まず、動揺している感情を受け止めてあげてください。感情が高ぶっている時は、何が起こったかを話すこと自体が余計に感情を揺さぶります。前に書いたように、観察した子どもさんの様子を言葉にしてみると良いようです。何が起こったのかを子どもが話し始めたら、それに対してどっちが正しかったか等のジャッジをすることは勧めません。
子どもはお母さんから“励まされた”言葉をそのまま相手に報告します。 仲間外れにされた子が“私のお母さんは、そんなこと言う子は悪い子だって言った”と。本人は、そう報告することで友達が戻ってくるのを期待しているのですが、大概これは逆効果です。そして本人は、期待がはずれた分、余計に傷つきます。
親が “友達はSちゃんだけじゃない。他のこと友達になれば?”と言うと、子どもの反応は “他になんて誰もいない。ほかの友達じゃダメなんだ”と返ってきます。自分自身が、他の子と遊んでみよう、自分の好きな遊びをしよう、と決められるようになることが大事です。
子供が悲しい出来事を報告している時は、気持を受け止めてあげるだけに留め、違う時に何気なく他の子どものことを話してみたらどうでしょう。そして、その子に対して “Kちゃんって、面白いことを言う、楽しそうな子だね”等、ポジティブなコメントを残して、本人ゆだねると(Kちゃんとお友達になれば?とは、言わないで)次の日にKちゃんと遊ぶ気になる可能性があります。
社会性の発達に伴う友達関係の変化は、大人は立ち入ることはできませんね。“お母さんが明日Sちゃんに話してあげる”と子どもの友達関係に親が踏み行って、何を変えることができるでしょう?
それに、友達関係の移り変わりは、今後繰り返し起きてくることです。幼児の頃にこの悲しい経験をすることは利点があります。子供は大きくなるにつれて、感受性が強く、または繊細になります。その分傷つき方が大きくなるのです。幼児の頃は、お母さんに分かってもらって泣いたら、次の日はけっこう元気にでかけていける、言う側がシンプルなら、言われる側もまだシンプルです。
もし、お子さんが、ここに書いた以上に不安定な様子を示すような時は、担任の先生に相談してみてください。